お口の健康と東洋医学について
東洋医学と聞いて何を連想しますか?
漢方、鍼灸、気功、ツボ、マッサージ、自然食(マクロビオティクス)など…
東洋医学は、さまざまな名称で私たちの生活の中にいます。
通常の歯科医院における治療の大半は、西洋医学によるものです。
虫歯の除去・神経の除去・抜歯などの原因を即座に取り除くには外科的な治療が必要で、西洋医学はこのような緊急性を要す治療には欠かすことができません。しかし多くの治療や予防にはもっと「東洋医学的な考え方」が必要だと考えています。
虫歯になるのはなぜ?
「お口の中の細菌」が食べ物などから砂糖を分解して酸を作り、その酸が硬い歯を溶かしてしまいます。このように溶かされてできたものが虫歯です。「お口の中の細菌」と言うのは歯垢(デンタルプラーク)といって磨き残しのことを言います。ですから、歯医者へ行くとしっかり汚れを落とすように磨いてくださいと言われるのです。 一方で、甘いものをよく食べて、あまりよく歯磨きできていない方でも虫歯になりにくい方がいます。これには、歯の質とツバ(唾液)が関係しているのです。
歯の質と唾液の関係
歯の質というのは、お母さんのお腹から生まれてしばらくの間にほぼ決まっています。また唾液にも質があり、上記のとおり口の中が酸性になると歯が溶けるわけですが、その酸を弱めれば中性になります。つまり酸性の口の中を早く中性近くまで薄める唾液の性質(唾液の緩衝能)が強ければ虫歯にはなりにくいわけです。ということは、歯の質・唾液の質の改善(体質改善)をすればお口の健康もかなり保てるようになります。
そこで出番が来るのが東洋医学です。
東洋医学ではよく「体質改善」という言葉を耳にするでしょう。規則正しい生活習慣、栄養のバランスを考えた食生活、適度な運動をする、ストレスをためない等いろいろありますが、お口の質の改善にも同じことが言えます。
さまざまな東洋医学
当医院では、東洋医学的なお話も交えて「全身的な健康管理を保ちながらお口の健康も管理する」という、まさに一石二鳥の診療を目指しております。
● 鍼灸・気功・マッサージは、リラックスして邪気(病気)を取り除き、正気を取り入れ文字通り元気になります。
● 鍼灸は、自律神経をコントロールして免疫力を上げます。
● 漢方薬(中薬)は病気そのものも治しますが、身体の抵抗力(免疫力)をつけて健康を保つ作用もあわせ持っています。(漢方薬は生薬であり、合成薬である西洋治療薬に比べて天然の素材を使用しています。)
● 精進料理も「食養」と言う東洋医学的な考えからきています。
いわゆる自然の食材を使ってあまり手を加えずに食する(最近言われているスローフードに近い)ものです。現代の飽食の時代からすると質素に感じがちですが、これは医学的にも非常に理にかなっているのです。
● 「マクロビオティクス」といわれるものも、この範疇に入ると思います。


食事・運動不足・ストレスによって糖尿病や高血圧、心筋梗塞等の成人病(メタボリックシンドローム)が起こるわけですが、歯周病(歯槽膿漏)も例外ではありません。もちろんブラッシングによるプラークコントロールの重要性は言うまでもありませんが、生活習慣によってかなり改善されます。
お口が原因で引き起こされる全身的な病気もあります。
西洋医学では治療に限界のあるものがあり、鍼灸やツボ療法を併用した治療も行います。病院で原因がわからない、どうしても治らないものも、東洋医学にかかればウソのように改善することもあるのです。
また「未病を治す」というのを聞いたことがありますでしょうか?
これも東洋の思想で、病気になってから治すのではなく、病気になる手前で治すという考え方です。いつもと少し体調が違うと感じた時に脈を診たり、舌を診ることで悪いところを見つけ、そこを中心に鍼灸や漢方を処方して治療し、全身調整を行います。その結果、発病を「未然に防ぐ」のです。
医療は西洋医学だけではありません。東洋医学の良い所も取り入れながら併用した診療が今求められています。ぜひ東洋医学を見直してみてください。
当院では、歯科治療に東洋医学を取り入れた診療のご提案が可能です。
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2024年2月1日